突然「会社を辞めろ」と言われたら? ブラック企業で自分を守る術

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『ブラック企業から身を守る! 会社員のための「使える」労働法』(今野晴貴/イースト・プレス)

「残業代を払ってもらえない」「上司からのセクハラがきつい」「有給休暇を取らせてもらえない」などなど、職場や会社に対する悩みを抱えている人は多いのではないだろうか。そんな人に“転ばぬ先の杖”として手に取ってもらいたいのが(今野晴貴/イースト・プレス)だ。

 

著者の今野晴貴氏は、労働者の権利を守るために活動しているNPO法人POSSEの代表を務める人物。ブラック企業対策プロジェクト共同代表でもあり、年間2000件以上の労働相談に関わり、労働問題の調査研究、政策提言などを行っている。その豊富な経験をもとに「パワハラ」「サービス残業」など、身近にある労働問題の具体的な解決策を私たちにわかりやすく教えてくれるのが本書だ。

 

 

■もしリストラにあっても「絶対に」即答してはいけない!

 

会社や働き方にまつわる悩みにはさまざまなケースが考えられるが、その究極のひとつが「リストラ」や「解雇」だろう。一時期よりも聞く機会は減っているイメージはあるが、いつ直面することになるかわからないものだ。

 

だが、会社で上司から「辞めてくれ」といわれたら、いったい私たちはどうすればよいのだろうか? その答えとして本書が挙げている最初の対応は、「即答を避ける」ことだ。たとえば、退職金が上積みされたり、次の転職先を探すために退職までの猶予期間が設けられたりするなど、自分が納得できる条件だと判断できるのならば、その会社を辞めてもよいだろう。しかし、その場合でも即答は避けたほうがベターだし、自分が会社を辞めたくない場合には、絶対に即答してはいけないという。なぜなら、そこで「はい、わかりました。辞めます」と答えてしまうと、「自己都合」退職になってしまうからだという。

 

ご存じの方も多いだろうが、会社の辞め方には2パターンがある。ひとつは、社員が自分の都合で辞める「自己都合」退職。そして、もうひとつが会社の都合で辞めさせられる「会社都合」退職だ。この2つの違いはとても大きい。自己都合退職の場合、失業給付金はおよそ3カ月待たなければもらうことができないが、会社都合退職の場合、失業が認定されれば、すぐに失業給付が始まるし、それと別に約1カ月分の給与にあたる「解雇予告手当」を受けることもできる。

 

 

■知識の有無で、手にする金額はこれだけ違う

 

本書がこうしたアドバイスをするのは、日本では経営不振や人員整理など、会社の都合で社員をクビにする場合でも、「自己都合」で辞めさせようとする会社が非常に多いからだという。仮に月給30万円で働く人が即日解雇された場合、自己都合と会社都合では、

 

・解雇予告手当=30万円
・失業給付金=約20万円×3カ月分

の差が最初の3カ月でつく。さらに、裁判や団体交渉で「解雇の正当性」を争い、会社に非を認めさせた場合には、数ヶ月分の賠償金を得ることができる。これはケースによって額が大きく変わるというが、少なく見積もっても、

 

・給与3カ月分=90万円

になるという。ここまでの合計は約180万円。自己都合退職と会社都合退職の違いの大きさが実感できるのではないだろうか。

 

著者がこれまでの活動を通じて強く感じているのは、「すぐに諦めてしまう」人が非常に多いことだという。著者が代表を務める団体で500人を対象に行った調査によると、サービス残業や悪辣なクビ切り、有給休暇を取らせてもらえないなどの違法状態を経験した人は全体の5割以上。そのときに、何もせずに泣き寝入りをしたという人が、なんとそのうち72%にものぼるというから驚きだ。

 

労働を提供し、その対価として給与を得るのは、ごくごく当たり前の労働契約。そのなかで残業代の未払いやセクハラ、パワハラなど、理不尽に嫌な思いをしないためには、やはり自分を守る労働法を知っておくべきだろう。その第一歩として本書を役立ててもらいたい。

 

文=井上淳

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