選挙の投票用紙は「紙」ではない。信じられない意外な科学

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身近に見る動植物や物質、天体、学生時代に習った物理まで、我々の周囲には“常識”を超えるサイエンスの話題が驚くほど数多く存在する。先日刊行されたは、「現代科学にまつわる話題」をイラスト図解でやさしく説明する注目の一冊だ。

 

『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』(KADOKAWA)

今回の記事では、我々にとって最も身近なモノの一つといえる「紙」にまつわるトピックスを取り上げた。「紙」にまつわる“実は知らなかった”事実にぜひとも注目していただきたい。

 

 

■これで開票作業が短縮化!

 

以前に比べ、国政選挙などでの開票作業がスピーディーになったことに気づきませんか? 選挙のとき、テレビなどで開票速報を見ても、投票数のカウントがかなり速くなっています。それに大きく寄与しているのが、実は「投票用紙」です。

 

イラスト:ケン・サイトー

これまでの選挙では、投票箱に折りたたんで入れられた投票用紙を開く作業に時間がかかっていました。ところが現在の投票用紙は、入れたときに折られていても、箱の中でもとに戻って平らになります。そう、「開票」作業が不要なのです。

 

この投票用紙に利用されているのは「ユポ紙」。しかしこれ、「紙」と表示されているものの、実際は「紙」ではなく、ポリプロピレン樹脂を主な原料とする「フィルム」の一種なのです。水に強く、普通の紙よりも破れにくいことから、現在では街中のいろいろなところで幅広く利用されています。

 

紙でもないのに「紙」と称するのは偽りなのではとも思ってしまいますが、同類のモノは身近なところにたくさんあります。たとえば、キッチンペーパーの多くは「不織布」で、これは紙ではありません。紙(paper〈ペーパー〉)の語源となった古代エジプトの「パピルス」も、紙の定義からすると紙ではないのです。

 

イラスト:ケン・サイトー

 

JIS規格によれば、紙とは「植物の繊維をほぐして水の中でばらしてから薄くすいて乾燥させたもの」。「パピルス」はパピルスという植物の茎を薄く削いで格子状に重ね、強く叩いて乾燥させたものです。「すく」ことをしていないので、紙ではないわけです。

 

 

■紙に鉛筆で字が書けるしくみ

 

さて、「紙」の話をしてきたところで、お次は鉛筆。言うまでもなく、紙とは切っても切れない関係にあるモノの一つです。この鉛筆の芯の原料は「グラファイト」です。グラファイトはギリシア語の「書く」が由来。日本語では「黒鉛(石墨)」ともいいます。

 

グラファイトは16世紀前半にイギリスで発見され、すぐに筆記用具として利用されます。これが鉛筆の始まりでした。しかし、グラファイトで字が書けるしくみがわかったのは、X線を使って原子構造を見られるようになった20世紀中頃のこと。何世紀もの間、しくみも知らずに人は鉛筆で字を書いていたのです。

 

イラスト:ケン・サイトー

グラファイトは、炭素原子がハチの巣状に結合して1枚のシートをつくり、さらにそのシートが層状に積み重なってできています。シート内の原子間の結合は強いのですが、シート間の結合は強くありません。字を書こうとすると、そのシートがはがれて塊となり、紙に移ります。鉛筆で字が書けるのは、このシートの「はがれやすさ」が理由なのです。

 

さて、同じ炭素からできた物質に「ダイヤモンド」があります。グラファイトとダイヤモンドのように、同じ原子からできているのに違う性質を持つモノを「同素体」といいます。

 

性質の違いは、原子配列の違いから生じます。ダイヤモンドの場合、下の図のとおり、防波堤の消波ブロックのように伸びた手で、炭素原子がお互いに強く結合している原子配列になっているのです。

 

イラスト:ケン・サイトー

 


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