パナソニックが「同性婚」を容認。LGBTを取り巻く法制度の現状とは

話題

 

「LGBT」という言葉をご存知でしょうか。レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(性同一性障害者)の英語の頭文字をとった性的少数者の総称を指します。いまLGBTの方々をめぐって、日本国内における制度面の変化が起きています。事例とともに、その現状と課題、そして法的見地からの解決法をお話したいと思います。

 

 

■これまで企業に存在していた人事管理、福利厚生上の問題

 

近年、東京都渋谷区が同性パートナーを結婚に相当する関係と認める「パートナーシップ証明書」の発行を始めるなど、ようやく社会的にも配慮する動きが本格化しています。

 

企業においても動きが見られます。パナソニックは、4月から、就業規則を変更し、同性パートナーを結婚に相当する関係と認める方針を固めました。具体的には、「結婚」や「配偶者」の定義変更や、同性パートナーを持つ社員を慶弔休暇など福利厚生の対象とすることを検討しています。

 

さらに、LGBTへの対応を進める企業は増えています。日本IBMは、2016年1月「同性パートナー登録制度」を新設し、LGBTのパートナーが人事部に登録することで、結婚祝い金をもらえるなど事実婚を含む男女の既婚者と同じ待遇を受けられるようになりました。

 

少しずつLGBTの方々を受け入れる社会体制が構築されつつあるが、こうした動きは、ほんの一部に過ぎません。

 

 

■保険、相続…LGBTを取り巻く法制度と自分でできる解決策

 

またLGBTの方々には、保険や相続などを通常の手続きでは適用されず、人生のなかでの大きな出来事においても、大きな壁に当たることになります。法改正は推進されていますが、時間がかかってしまいます。

 

そこで、法改正を待たずに現状の法律においてLGBTの方々がやっておいたほうがいいことや、取り組んでおくべきことを紹介します。

 

保険、相続の対策として、「養子縁組」「遺言」「任意後見」「民事信託」は、不可欠な制度だと言っても過言ではありません。簡単にそれぞれの項目について、ご説明します。

 

養子縁組とは、同性パートナーのうち、年上の者が養親、年下の者が養子となって養子縁組をする方法で、お互いに法的な権利や義務を持ちます。この制度を活用していれば、パートナーの財産を相続する権利は発生します。しかしながら、当人たちは、愛し合っているパートナーであって、親子ではない!という心理的な部分は拭えません。

 

そして遺言。法律用語としては「いごん」と読みます。遺言がなければ相続人以外の人が財産を貰うことはできません。したがって、同性パートナーに相続財産を渡したい場合には、遺言を書くことをお勧めします。

 

次に、任意後見制度。将来的に判断能力がなくなったときに備えて、あらかじめ後見人を決めておく契約のことです。同性パートナーがお互いを任意後見人とする形で作成できます。通常は、認知症に備えて活用される制度ですが、後見人が代理して行うことのできる事務の範囲は、生活、療養看護、財産の管理に関する部分。パートナーの事故や病気を見越して、作成しておくことをお勧めします。

 

最後に信託です。信託とは、「遺言」や「任意後見制度」の弱点を補う制度であり、元気なうちにお互いの財産を託す制度です。例えば、生命保険を契約する場合、保険金受取人は、2親等以内の親族とするケースが多いのでパートナーを受取人にすることは難しいです。

 

しかし、信託を活用すれば、同性パートナーに保険を残すことができます。ポイントは、保険契約者と受託者である同性パートナーとのあいだで信託契約を結び、受託者である同性パートナーが保険金債権を受託する仕組みです。

 

万が一、契約者が死亡した場合、信託契約を結ぶ受託者が契約内容の通りに保険金を管理・運用します。同性パートナーに保険金を残す契約を結べば、保険金をパートナーに残すことは可能となります。

 

ただし、保険会社の実務が追いついていない実情があり、その場合は、信託銀行や信託会社に相談してみましょう。

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司法書士法人オフィスワングループ代表

島田雄左

司法書士法人オフィスワングループ代表。1988年生まれ。中央大学商学部卒業後、大手通信会社代理店の法人営業部勤務。2012年、司法書士試験に合格し、「司法書士事務所オフィスワン」を開業。2013年、事務所を路面店...

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