知らなかったではすまされない! 家庭菜園に潜む身近な“毒”

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野菜や果物を自宅の庭などで家庭菜園として楽しんでいる人も多いのではないでしょうか。やはり自分の手で収穫したものは格別な味わいですよね。しかし実は、わたしたちが口にしている中に食べ方を誤れば中毒を引き起こしてしまうものがあることをご存知でしょうか。家庭菜園を安全に楽しんでもらうためにも、身近に潜む毒について注意点を交えながらご紹介していきます。

 

 

■スーパーフード・モロヘイヤに潜む、強い“毒”

 

まずは夏に旬を迎え、クレオパトラも愛したといわれるスーパーフードのモロヘイヤです。栄養価に優れ、美容効果も高く、特にβカロチンとカルシウムの含有量は野菜の中でもトップクラス。また「ムチン」というねばり成分は消化管粘膜保護作用のほか、血糖値やコレステロール値の上昇を抑える働きもあるので健康にもやさしい野菜です。

 

モロヘイヤのおひたし:モロヘイヤのねばりとシャキシャキの食感がご飯とよく合います

こうした点が注目されてされてから国内で瞬く間に普及しました。家庭菜園で育てる人も多いはず。しかし、種子や茎、さやを食べてはいけないことはご存知ですか。

 

まず確認しておきたいのが、スーパーなどで販売されているモロヘイヤは、茎にも毒性はないので丸ごと食べても全く問題はありません。それは、毒性を持つ前に収穫されているからです。また、モロヘイヤ茶などにも危険性はありません。あくまで注意したいのは家庭菜園の場合です。

 

モロヘイヤのさや:この中には200個ほどの種子が入っています

モロヘイヤに含まれる「ストロファンチジン」はです。その含有量は、種子をつける時期では種子>茎>根>茎>葉の順に多くなっています。種子には茎の20倍量含まれているので、市販のものでも注意が必要。アフリカでは矢毒としても使われていたほどの毒性をもっているので、。48時間後には体外へ排出されますが、呼吸が苦しいなど症状が重い場合は速やかに病院で治療を受けて下さい。

 

幸い人間の死亡例は報告されていませんが、1996年に種子がついたモロヘイヤを食べた5頭の牛のうち、3頭が2日後に死亡した例があります。どうしても心配な方は家庭菜園でモロヘイヤの葉の部分だけを摘むのが一番安心でしょう。

 

 

■実は日本で最も中毒患者数が多い、ジャガイモにも潜む“毒”

 

発芽したジャガイモ:有毒物質「ソラニン」が含まれています

何かと食べる機会の多いジャガイモにも注意が必要です。これも調理法を誤ると中毒を起こす可能性があります。小学校内で栽培したジャガイモを皮付きのまま茹でて食べた児童と教師が腹痛、吐き気、喉の痛みを発症しました。ジャガイモの発芽部分や緑色の皮に含まれる有毒物質「ソラニン」ごと食べてしまったからです。

 

また、家庭栽培でよく見かける小さいジャガイモも注意してください。というのも未成熟のものには「アルカロイド」という有毒物質が含まれることがあるので皮を厚めにむく、仮に市販のものでも子供には皮をむいて食べさせるといったことが必要です。

 

 

■果物にも注意! 頼りになるのはちょっとした“知識”と“危機感”

 

これから旬を迎えるイチョウの実であるギンナンにも毒は潜んでいます。ので、大量に食べてしまうとビタミンB6欠乏症を起こし、危険です。一気に60個食べた41歳の女性が嘔吐や下痢、両腕の震えを起こしたとの報告もあるので、ぜひともゆっくりと少量を味わって下さい。

 

また果物にも注意が必要です。例えば、ビワやアンズ、ウメ、モモ、スモモ、サクランボなどのバラ科の果物は種子と未熟な果実の部分に、猛毒「青酸」の元となる「アミグダリン」という物質が含まれています。中でも未熟なウメの実である青梅は、梅酒や梅漬けの材料として手に入りやすいですが、注意したいのがそのまま食べないことと、誤って種を噛み砕いた場合には飲み込まないようにすることです。果実が熟したり、梅酒などに加工すると毒性は低下するので中毒の心配はありません

 

ここで紹介したように、生活の中で馴染みの深い野菜や果物の中には意外にも毒を持っているものもあります。しかし、必要以上に怖がることはありません。身を守るために毒を備えた植物を、人類はアク抜きや加熱、食べる時期や部分を限定することで賢く利用する方法を発見し伝承してきました。それをきちんと学んで、ちょっとした危機感さえ持てば、美味しくて栄養満点な植物たちの恵みを享受できるのですから。

 

家庭菜園、園芸を安全に楽しむための注意点については(東京都福祉保健局「身近な有毒植物」)

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サイエンスライター

田端萌子

難しい科学を楽しく分かりやすく伝えるべく、惑星科学、地学をメインにサイエンス記事を執筆している。 本文執筆『日本列島5億年史』(洋泉社)、編集協力『日本列島100万年史』(講談社ブルーバックス)など...

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