【貧困女子】寂しさからペットのワンコが心の支えに、その生活環境を守るためにリボ払いの自転車操業

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女性誌『Suits WOMAN』で注目を集めた「貧困女子」。これは、普通の毎日を送っていたはずが、気がつけば“貧困”と言われる状態になってしまった女性たちのエピソードです。

 

今回、お話を伺った、高野詩織さん(仮名・38歳)は、派遣社員になって10年になります。新卒から6年間は、自動車部品メーカーに勤めていました。

 

「付属高校から進学し、日本で一番大きい大学の法学部を卒業しています。両親は私が15歳の時に、泥沼の離婚をしました。私は母に引き取られ、男出入りが激しい母と一緒に22歳まで住んでいました。毎晩のように母と見知らぬ男性が、恋人気分の時間を過ごしていることに耐えられず、独身寮がある会社を選んで入りました」

 

“私は母親に似ている、認めたくはないけれど”と言う詩織さんは、整った顔立ちをしています。二重まぶたの黒目がちな瞳とグラマラスなボディーは男性からのウケがよさそう。セルフカラーをしたのか色ムラだらけの茶髪、襟なしの白いボウタイブラウスに、黒板のような色のニットを合わせています。靴は使い込まれた黒のエスパドリーユ。

 

「最初の会社にあのままいたら、リボ払いの残債が60万円、消費者金融の借金は60万円という今の状況はなかったと思います。そもそも社員寮にいたら、寂しくないし。それに正社員で働いていたら、結婚もしていたと思うんですよね」

 

詩織さんは26歳までに“一生分のモテ期を使い果たした”と思うほど、モテまくったそうです。

 

「前の会社はハイスペック男子の見本市でした。例えば、東大卒エリート、慶應卒の金持ちボンボン、明治大学卒のガッツある営業マン、早稲田大学卒のトリリンガルなどが私と付き合いたいと求愛してきました。私は一番私を愛してくれる人と結ばれたかったので、いろんな願望を彼らに伝えたかな。

 

慶応大卒男子は、毎月のようにフレンチを予約してくれました。明大卒男子にはデパートの外商部にいる友達がいたので、都内の予約困難店に連れて行ってくれました。24歳の時は、あらゆるラグジュアリーブランドの財布を持っていました。一番高かったのは20万円のものです」

 

しかし、その恋愛は、すべて短期に終わってしまったそうです。

 

「“恋愛”って言いますけれど、恋人関係になっていないから、なんともないんですよ。私は母親のふしだらな姿を見ているから、そういうことは大嫌いなんです。どの人とも深い仲になることをお断りしていました。私はそんなに安い女ではありません」

 

 

■本当の恋人はもっと大人の男性だったとか。

 

「私は父親との関係が微妙なので、大人の男性に弱いんです。いくら何をプレゼントしてくれたって、同世代男子って3歳児みたいなもんですよ。付き合っていたのは、東大卒の50歳の男性です。すごく頭がよくて、私の話をいつまでも聞いてくれました」

 

彼は居酒屋でナンパされて付き合い始めたそうです。もちろん、彼は結婚しており子供が3人もいたといいます。

 

「子供っていっても、一番下が高校生だったかな。彼の妻は嫉妬深く、バレたら何をされるかわからない。だから、23歳から3年間、周りの人にバレないように細心の注意を払いながら付き合っていました。

 

彼は私と一緒に過ごすために、自分が持っていたマンションを解放。そこは投資用物件で住人がいたのですが、私のために出て行ってもらっていたのです。さすがに住むようなことはしなかったけれど、幸せでした」

 

3年間、週に1回会うような生活を続けていたが、彼の妻に関係がバレてしまいます。

 

「奥さんに会社に乗り込まれ、写真をバラまかれるという、ドラマのような展開でした。もちろん、会社には居づらくなり退職しました。社員寮も追い出されました。社員寮って、社員じゃなくなった瞬間に“ポイッ”って出されてしまう。あれは怖いですよ。足元のブロックがザーッと崩れていく感じ。生活基盤が全然なくなるあの恐怖は、今でも夢に見ます」

 

しかし、当時は貯金が300万円ほどあったので、社員寮を追い出されたらウィークリーマンションに入居し、仕事も決め、生活の立て直しをしたといいます。

 

「前の会社の条件が良すぎて、他の会社には行けなかった。それで結局、派遣社員になってしまったのが、そもそもの間違いだったんです。

 

あとの大きな間違いだったのは、寂しくて32万円のチワワを飼ってしまったこと。彼から迷惑料として200万円ほどもらったので、財布の紐がゆるくなってしまったんでしょうね。動物が飼えるマンションに引っ越して、新生活をスタートしました」

 

「私が会社に行っている間、1人ではかわいそう」そんな気持ちでワンコはどんどん増えていき……。(※写真はイメージです)

 

毎月の手取りは26万円なのに、リボ払いの残債が60万円、消費者金融の借金は60万円もあるといいます。

 

「犬にお金がかかるから、貯金が全然できないどころかお金が足りないんですよ。家賃も、都内のはずれにあって古くて不便なんですが、ペット可のところだから、相場に比べて3万円高い8万円です。

 

ドッグフードだって1日1000円以上かかります。予防注射、トイレシート、狂犬病などの病気の予防注射、病院代、トリミング、旅行に行くにもペットホテルを手配しなくてはならない。ウチの子1匹あたり、最低でも年間15万円くらいかかっていると思います」

 

今、詩織さんはチワワを3頭飼っています。自分のことを「ママ」と呼び、家では本当に甘い時間を過ごしているとか。

 

「28歳の時に最初に飼った子が本当にかわいくて、一人っ子にしてしまったらかわいそうだと思って、すぐにもう一匹飼ってしまったんですよ。でも、最初に飼った子が5年で死んじゃって、その時は仕事に行けないくらい家で泣いてばかりいた。

 

誰に会っても、どこに行っても、あの子のことを考えてしまう。自分が世界で一番不幸だと思って、会う人、会う人に伝えていたら、いろんな友達から距離を置かれた気がします。あの子が死んだ悲しみは今でも消えませんが、4年前に新たにもう一匹買ってしまったんです」

 

地元の商店街を歩いていて、新しくできたペットショップのショーケースを見ていたら“バチッ”と目が合ったと言います。

 

「運命ってあると思うんですよ。あのとき、手持ちのお金が無かったから、37万円のワンコ代をクレジットカードで払ったんです。分割払いにしようと思ったのですが、毎月の負担が大きかったので、今までのぶんも加えてまとめてリボ払いにしましたんです」

 

そのとき、詩織さんはクレジットカードでかなりの額のお金を使っており、限度額を超えないか心配だったと言います。

 

「メインカードは前の会社に勤めている時代に作ったクレジットカードだから、限度額も100万円と大きくて、それでも心配でしたから。ダメだったら、新たに契約したクレジットカードが3枚あるので、そのうちのどれかで買おうと思っていました」

 

 

■自分のためにお金を使うのではないから、どんどんカードを切ってしまう

 

「ペットって急な出費が多いんですよ。吐いたり、散歩中にケガをしたり……あと恥ずかしい話なんですが、ウチの子のうちの一匹が、たまに食ふんをするんです。メンタルの問題だと聞き、ママ失格だと思って、飼い主とペットが行くカウンセリングにも通っています。

 

そういうお金もすごくかかるんです。それに、一番上の子が9歳と高齢になっており、がんの疑いがあり、もしかすると開腹手術になるかもしれない。チワワの平均寿命は12歳ですから、一緒にいられるのももう少しなんです」

 

恋愛や結婚についても伺うと、1か月前に別れた彼と交際したのは2か月だといいます。

 

「私、不倫運が強くて、彼と別れた後も不倫ばかりなんですよ。これじゃヤバいと思って、34歳くらいまではSNSやマッチングアプリで婚活をしていたんです。でもワンコを飼っていることを伝えると、みんな男性は”えっ!?”って顔をして、急速に距離を置く。

 

犬好きを自称するな男性にも会ったのですが、3頭飼っていると言うと、明らかにドン引きしていましたね。私って優しいと思うんですよ。だってウチの子のひとりは、ちょっとした奇形で膝の関節が先天的に弱いんですけれど、大切に飼っていますもん。ペットショップに返品すれば殺されちゃうと思って」

 

家庭的な詩織さんは、ドッグフードにも気を使っているそうです。

 

「ママが食べるものよりも、絶対にいいものを上げています。原材料をきちんと見て、“肉類”とか“肉副産物”とかよくわからない表示がないもの、添加物がほとんど使われていないものを選んでいます。

 

食べさせているのは、1キロ4000円程度という、通常のドッグフードの3倍以上のもの。カリカリしているタイプで、私が食べてもおいしいので、一緒に食べています。手づくりドッグフードの講習会に出て、作り方を学びました。だってワンコは大切な家族ですから」

 

詩織さんの食事は、88円で買った食パンと1玉10円のうどんがメイン。

 

「近所のドラッグストアのタイムセールで、うどんが1玉10円になるときがあるんです。それをまとめて買って冷凍して食べています。パンは2日で一袋が目安。朝はトーストにして、昼は生のままタッパーに入れて持って行って、派遣先の冷蔵庫に置いてあるチューブタイプのマーガリンをつけて食べます。

 

それに6Pチーズとか、魚肉ソーセージとか。そんなご飯を見られたらマジで結婚できないと思い、ランチはトイレの個室で食べています」

 

ただ、たまに猛烈に贅沢をしてしまうといいます。

 

「デパ地下で1個500円のケーキを5個買って屋上で一気食いしたり、ホテルの食べ放題に行ったりしています。カードで払うから、ポイントも貯まるし、週に1回程度の自分のご褒美だからいいかなと思って。

 

私がお金を使うのは、自分でブランド品を買ったり、見栄を張るためでなく、我が子のためなんです。我が子のために頑張っているから、そのくらい許されてもいいはず」

 

買ったものが手元に残らないから、自覚せずに使い続けてしまうようです。

 

「でもいいんです。今、バツイチの45歳の獣医さんといい感じで、もしかしたら付き合うことになるかも。彼は東京で開業していて、そこそこ流行っているみたい。ネットで獣医さんの年収を調べたら1000万円くらいなんですね。

 

もし結婚したら、彼が飼っている猫においしいごはんを作ってあげたい。診療補助もできると思うし、私が彼の病院で手づくりドッグフードのセミナーをするのもよさそう。この人と付き合えたら。私の人生もよくなる気がするんですよね」

 

朝食と夕食は”家族”みんなで揃って食べるようにしている。詩織さんの食事内容は、朝と夜はトーストが多い。

 

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