「だけどときどき、私は本当に“女”なのかなと思う…」

人間関係

 

最近、「自身の“性”が揺らいでいる」という話をよく耳にする。異性を好きになるのだと思い込んで結婚した結果、結婚生活につらさを感じる人もいるし、そもそも異性と結婚する気がないと話す女性もいる。

 

 

■子どもはかわいいけれど

 

「12歳と10歳、ふたりの娘は本当にかわいい。だけどときどき、私は本当に“女”なのかなと思うことがあるんです」

 

そう言うのはシノブさん(40歳)だ。高校時代からの友人だった同級生と「デキ婚」した。特に恋愛感情があったわけではないが、楽しい結婚生活を送ってきたという。

 

「だけど周りに“奥さん”と言われると違和感があるし、女らしい格好にも興味がない。なにより夫とのセックスが苦痛でたまらない」

 

自分の中の“女性性”について、小学校のころから葛藤があった。ずっと自分を「ボク」と言っていたそうだ。

 

「つい先日、職場で退職する後輩がいたんです。私はその子をかわいがっていたので別れがつらくて、ついハグしたんですよ。そうしたらなんだかドキドキしちゃって。やっぱり女性のほうが好きなのかもしれない……。今さらどうしようもないんですが、なんだかモヤモヤする日々が続いています」

 

こういう女性、案外少なくないのかもしれない。

 

 

■女性が好き……でも誰にも言えない

 

本当は女性が好きだけど、誰にも言えないし行動にも移せない。そんな悩みを抱える女性もいる。

 

「実は男性とつきあったことはありません。いつも女性に片思いしているだけ。周りはそろそろ結婚していくのに、私は本当の自分を出せないまま。このまま老いていくのは寂しすぎますよね」

 

チナミさん(30歳)はつぶやくようにそう言った。街を歩いていたら誰もが振り返りそうな美形である。だからモテると思われているが、彼女自身は男性に興味がない。

 

「正直言うと、女性のことは好きだけど、実際つきあうのは怖いんです。すごく保守的な職場にいるので、同性愛だとレッテルを貼られるのも怖い。このままではいけないと思いながら、一歩踏み出せずにいます」

 

職場では「きまじめで控えめな女性」で通っているらしい。彼女が自分の特性をさらりと言えるような性格に変わるのもむずかしいだろう。ただ、同性愛者が集まるネット上のコミュニティでは、彼女は明るくリーダーシップのある女性として一目置かれているようだ。

 

「いつかリアルで彼女たちに会えたらいいなと思っています。私がもうちょっと踏み出す勇気を出せば…」

 

きっとそういう日がくる。その日を作るのも自分の勇気だから、と私は彼女の背中を押すことしかできなかった。

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ノンフィクションライター

亀山早苗

明治大学文学部演劇学専攻卒業後(専攻は歌舞伎)、雑誌のフリーランスライターに。 ライター歴、もうじき30年。離婚歴1回の現在独身。長い間、男女関係に興味を持ち続け、さまざまな立場の男女に取材を重ねてきまし...

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