【その薬、本当に必要?】え!?あの軟膏クリームで二重になれる?そんなウワサについて、真偽のほどは…?

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茶色い箱の「オロナインH軟膏」。みなさんの家にもひとつあるのでは? 誕生してから65年。万能薬とまでいわれる「オロナイン」が近年、ネット上で話題になっています。「オロナインで二重になる」というのですが……。宇多川先生に聞いてみました。

 

 

■オロナインの有効成分は殺菌成分

 

はじめにオロナインの効能を見てみましょう。

 

「にきび、吹出物」「きず(すりきず、きりきず、つききず)」「やけど」「水虫」「いんきん、たむし、しらくも、はたけ」「ひび、しもやけ、あかぎれ」———と、幅広いですね。どうして「にきび」に効く薬が「水虫」や「しもやけ」に効くのでしょうか?不思議に思ったこと、ありませんか?いったい何が入っているのでしょうか。 

 

有効成分はクロルヘキシジングルコン酸塩です。殺菌作用のある成分です。有効成分はこれだけです。

 

え、これだけ?って思いますよね。それでどうしてこんなにたくさんの効能があるのか?

 

「にきび」「きず」「水虫」には患部を清潔にするという意味で、殺菌作用が有効と考えられます。

 

では、「やけど」「しもやけ」「あかぎれ」には何が効くのか?殺菌成分は関係ありません。オロナインの添加物を見てみましょう。グリセリン、オリーブ油、サラシミツロウ、ワセリンなどの油分が入っています。これらが保湿クリームとして、やけど、しもやけ、あかぎれをガードする役目をするのでしょう。

 

たしかにまだハンドクリームというものが一般的でなかった時代は、あかぎれ、しもやけにはオロナインでした。

 

 

■ウワサ1「まぶたにオロナインを塗ると二重になる」

 

オロナインで検索するとヒットするのが「二重」です。オロナインをまぶたに塗って、テープで貼って寝ると、翌朝目がパッチリするとか。これを毎日続けると1か月ぐらいで本当の二重みたいになるとか。「オロナインを塗って涙袋をつくる」という情報もありました。もっとも同じ検索ページでで「オロナインで二重は危険」という情報も目に入ってきますが、スゴイですね! 本当に驚きました。

 

二重になる理由として「オロナインの成分に発汗作用があり、毎日塗っているうちに、まぶたが痩せてくる」と説明している人がいます。まぶたが痩せてくる成分っていったい……?涙袋ができるという情報では、「オロナインを塗ると毛穴が開いて汗がたくさん出るので、目の下が痩せて涙袋ができる」というように説明されていました。

 

どうやら、この“発汗の作用”で二重になったり、涙袋ができたりするようなのです。さらには同じ原理でオロナインを鼻に塗ると毛穴が開いて、鼻の角栓が取れやすくなるという情報もあります。

 

しかし普通に考えて、痩せるほど毛穴が開いたら、それは危険以外のなにものでもありません。こうした口コミがネット上でひとり歩きするのは本当にコワイですね。発売元の大塚製薬からは「発汗成分は入っていません」ということです。

 

 

■ウワサ2「オロナインを美容液として使うのがおすすめ」

 

もうひとつのウワサは「美容液代わりに使うとニキビが治る。毛穴ケアになる」というもの。ある口コミでは「オロナインを化粧水で溶くと乳液のようになるので、それを洗顔後に塗るとニキビにいい」とのこと。また、それを鼻に塗って「洗い流した後に鼻の角栓パックを使うと角栓がごっそり取れる」という情報もあります。

 

化粧水で溶くと「乳液」のようになるのは、オロナインに乳化剤が入っているからです。乳化剤とは水と油を混ぜ合わせる界面活性剤のことです。添加物には「ラウロマクロゴール」「ポリソルベート80」「自己乳化型ステアリン酸グリセリル」などの界面活性剤が入っています。

 

ですからオロナインを化粧水に溶けばクリーム状になり(水で溶いてもなります)、肌になじみやすい。しかし肌となじみやすいということは、それだけ肌から成分が吸収されやすいということです。乳化剤という合成界面活性剤を皮膚からどんどん吸収することになりますが、それはいいことでないですよね。

 

最後に、ハンドクリーム代わり、保湿クリームとしての使用は正しいのか?というと、これも微妙です。

 

オロナインは殺菌作用のある軟膏であり、保湿クリームではありません。ハンドクリームのように制限なく使っていいものではなく、医薬品です。間違った使い方をすれば副作用のおそれもあります。添付文書には、まれではありますが「ショック(アナフィラキシー)」(かゆみやじんましんなどに加え、息苦しさや動悸などの症状)の可能性も明記されています。

 

もし保湿クリームが必要であるなら、殺菌成分は必要ないはず。肌の保湿をしたいのなら、白色ワセリンやプロペト、オリーブ油のほうが保湿力は高く安全です。

 

家庭の万能薬であってもオロナインは医薬品です。美容目的に目のまわりに塗ったり、顔に塗ったりするのはやめましょう。

 

すり傷、切り傷、手荒れなどなどに使える万能薬ですが、美容クリームではありません。

 

賢人のまとめ

薬の本来の用法を逸脱し、痩せる、肌がキレイになるといった口コミがひとり歩きしている現象が見られます。どんな薬にも反作用もあることを忘れないでください。

 


プロフィール

薬の賢人 宇多川久美子

薬剤師、栄養学博士。(一社)国際感食協会理事長。明治薬科大学を卒業後、薬剤師として総合病院に勤務。46歳のときデューク更家の弟子に入り、ウォーキングをマスター。今は、オリジナルの「ハッピーウォーク」の主宰、栄養学と運動生理学の知識を取り入れた五感で食べる「感食」、オリジナルエクササイズ「ベジタサイズ」などを通じて薬に頼らない生き方を提案中。「食を断つことが最大の治療」と考え、ファスティング断食合宿も定期開催。著書に『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂出版)『それでも「コレステロール薬」を飲みますか?』(河出書房新社)など。LINEお友達限定で、絶対に知っておきたい薬のリスク情報配信中。

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