街で好きな足首を見かけると、ついつい…【昏いものを抱えた人たち】

人間関係

ノンフィクションライター亀山早苗は、多くの「昏(くら)いものを抱えた人」に出会ってきた。自分では如何ともしがたい力に抗うため、世の中に折り合いをつけていくため彼らが選んだ行動とは……。
男女問わず、大なり小なりフェティッシュな一面はあるものだ。個人的には男性の膝の裏の腱がたまらなく好きなのだが、なかなかわかってくれる友人はいない。

 

 

■好きな足首を見かけると、あとをついていきたくなる

 

「僕は女性の足首が好きなんです。きゅっと締まった足首を見ると、脳の後ろのほうをカーンと叩かれたような気分になります」

 

マモルさん(45歳)はそう言った。女性と深い関係になると、まず足首を愛でて撫でさするので、気持ち悪がられることもあるという。

 

「足首が好きなんだ、というといろいろ誤解をもたらすんですよ。足首が好きであって、私のことが好きなわけじゃないのね、と」

 

そのあたりはむずかしい。彼女の足首だから好きなのか、好きな足首があるから彼女のことが好きなのか……。足首は女性の性器の締まりと関係があるという俗説もあるので、ますます誤解されるそうだ。

 

「恋人の足首を撫でさすっているだけなら問題ないんですが、僕の場合、街で好きな足首を見かけると、ついついあとをついていきたくなる。これが問題なんですよね」

 

マモルさんの表情が暗くなった。

 

 

■なんとか欲求不満をためずにいられるように

 

「このままだと犯罪者になってしまうかもしれない」

 

性的にごくごく一般的な範疇に入らないと悟ったとき、マモルさんは身が震えるような思いがあったという。確かに街で見かけた女性のあとをついていき、隙を見て足首を触ろうとしたら完全に犯罪である。

 

「そんなとき、ネットで見つけたのがフェティッシュについて語り合う場です。自分のフェチを話しても誰にも非難されない。それで救われました」

 

さらに女友だちが連れて行ってくれたのがフェティッシュバー。リアルでフェチについて語ることができ、彼は「居場所」を見つけたという。

 

「たまたま近くに座った女性の足首が好みだったんです。じっと見ていたら、その女性が、『触りたい?』と色っぽい目で話しかけてくれて。了解を得てさすったり撫でたりさせてもらいました。僕の場合、そこで興奮して性的な関係をもちたいというふうには思わないんです。足首さえ触らせてもらえればじゅうぶん満足」

 

男性の性的欲求もさまざまで、必ずしも男性器を使って射精しなければ満足できない人ばかりではない。彼の場合は、好きな足首を触ることができればセックスは必要ないのだそうだ。

 

「今ではそのフェティッシュバーが僕の居場所です。いろいろな人がいますよね。自分のフェチに悩んでいる人も少なくない。こういう場がなければ、自分だけが変態だと思っていたかもしれません」

 

世の中、バランスのとれた人間ばかりではない。こういった偏りがあるからこそ人の営みはおもしろい。

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ノンフィクションライター

亀山早苗

明治大学文学部演劇学専攻卒業後(専攻は歌舞伎)、雑誌のフリーランスライターに。 ライター歴、もうじき30年。離婚歴1回の現在独身。長い間、男女関係に興味を持ち続け、さまざまな立場の男女に取材を重ねてきまし...

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