ある朝起きると、夫が隣の部屋で亡くなっていた――身近な人が“突然”旅立ったらどうすればいいのか?

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パートナーや肉親との「死別」のパターンはいろいろだが、一般的には大きく二つに分かれるだろう。重篤な病気や余命宣告などで、ある程度「予期していた場合」と、交通事故や突然死など、まったく「予期せぬ場合」だ。

 

前者の場合、遺族は万が一に備えての覚悟や準備を、精神的にも金銭的にも整えておく余裕がある。一方、後者になると、遺族は何の準備もないまま、いきなり、いくつものつらい現実と向き合うことになる。

 

その後者となった遺族の過酷さをリアルに伝えてくれるのが、だ。

 

本書は、故人の死に伴い、遺族がしなければいけないこと(各種の手続き等)が、著者のこさ氏による再現マンガと、それを補足する解説によって、故人の死から順を追って学べるという、悲しくも、超画期的な見送りガイドなのである。

 

 

■悲しむ間もなくやって来る警察官に対応し、「死亡診断書」をもらう

 

 

マンガは著者のご主人が急逝するところから始まる。


好きな仕事と、信頼する働き盛りのご主人(40代、大学の先生、オタク)、そして、幼い二人の子どもに囲まれ、幸せな日々を過ごしていた著者。

 

しかしある日の朝、著者が起こしに行くと、ご主人はすでに呼吸をしていない。

 

 

救急車で搬送するも帰らぬ人となる(急性心不全だったそう)。そして自宅には、数名の警察官がやって来て事情聴取される。解説文がこう教えてくれる。

 

こささんのご主人のように、自宅で突然亡くなるといったケースでは、警察に連絡が入り、検察官による検視が必要になります(自宅で亡くなっても、24時間以内に死因となった病気で治療を受けていた場合、検視は必要ありません)。事故や自殺も同様です。死因に不審な点や犯罪性がないかどうかをたしかめるため、検証されるわけです。

 

この対応は本当につらい。じつは筆者も、両親を自宅で、突然死で亡くしている。気持ちの整理どころか現実が受け止めきれていないのに、「故人は保険に入っていましたか? 受取人は?」などと、事件性の有無を確かめるべく矢継ぎ早に聞かれるのだ。

 

 

著者のように、愛するパートナーにして一家の大黒柱をいきなり失った直後であれば、そのつらさはなおのことだろう。しかし、泣いたりしている暇はない。

 

なぜなら本書が教えてくれるように、遺族はまず「死亡診断書(死体検案書)」を受け取り、膨大な「やることリスト」を、気丈につぶしていかなければいけないからだ。

 

 

■やらなければいけないこと&かかる費用まで教えてくれる見送りガイド


ここで「最初にやらなければいけないこと」を本書よりまとめると、以下のようになる。

 

1.医療機関などで「死亡診断書(死体検案書)」を受け取る(死亡した場所や状況によって検視が必要な場合がある)。


2.役所に「死亡届」「死亡診断書(死体検案書)」を提出する。同時に「火葬許可申請書」を提出する(死亡から7日以内)。

 

本書はマンガの進行に合わせ、経過時間・日数ごとの「やることリスト」がチェックできる。各費用の概算も記されているので、「初めて見送る」という人にはより心強い。ちなみに、著者の場合、死亡診断書を取得するのに「4万5千円かかった」そうだ。

 

その後、通夜、葬儀その他もろもろ、何をしなければいけなくて、いくら費用がかかるのかは、ぜひ本書でご確認いただきたい。

 

そして、本書がありがたいのは、注意事項もさまざまに教えてくれることだ。


例えば、葬儀費用は事後、役所がその一部を補助してくれる制度がある。しかしこれは「自己申請しないともらえない補助金」なのだ。

 

筆者も経験したが、役所に死亡届を出しても、補助金のことなどを教えてくれたりはしないだけに、本書で事前にこうした知識を入手しておけば、経済的にも大助かりとなる。

 

 

■判断に困る故人の品の処分、生前に話し合っておくことはできる?


本書には他にも、著者がすごく苦悩する場面が登場する。それが「遺品」となった、故人が大切にコレクションしてきた膨大な「オタクグッズ」(大学の授業でも使っていた、多種多様なサブカルチャー資料)をどうするか、である。

 

売る、廃棄する、それともどこかに寄贈すべきか……。「夫はどう望むのだろうか」と、苦悩する著者。

 

 


「彼が生きているうちにこの本があれば、一緒に読んで話し合いをしておきたかった。」
「ずっとこの生活が続くと思っていた。」

 

この著者の言葉が象徴するように、多くの人は病気にでもならない限り、死別やその備えなどは考えようとはしないものだ。

 

しかし、人の命は気まぐれで、あっけなく、無慈悲に、その瞬間は訪れる。

 

その反省も踏まえ著者は、本書の最後で「生前にやっておくこと」をまとめ、子どもたちが途方に暮れないよう、今から遺影の準備などもしているという。

 

心情が痛いほど伝わって来るマンガと、現実を突きつける解説。本書を読むと、そのギャップに少し戸惑うだろう。しかしその戸惑いがまさに、当事者が実体験する「泣きたいのに、やることだらけ」というリアルそのものでもある。

 

その時になって戸惑わないためにも、今から本書を読んで、家族みんなで前向きに、死別の備えと向き合ってみてはいかがだろうか。

 

 

文=町田光

 

※情報は2019年1月13日現在のものです

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