首都高速に「追越し車線」がない理由

車・交通

■追い越し車線がない高速道路がある?

 

片側2車線以上の道路では、原則として最右車線は「追越車線」に定められている。最も左の路肩側の車線は第1車線、その右側が第2車線となるが、片側2車線なら第2車線、同3車線なら第3車線が追越車線になる。追越車線は追越しのためだけに使われるべき車線なので、追越しを終えたら速やかに走行車線に戻らなくてはならない。追越しが終わったあとも後続車の進路を塞ぐようにして追越車線を走る行為は「車両通行帯違反」となり、道路交通法で取り締まりの対象となる。

 

しかし、それらは追越車線と走行車線がきっちりと区分けされた道路での話。日本には「高速」の名前がついていても、追越車線が存在しない道路がある。首都高速や名古屋高速などの「都市高速道路」と呼ばれる高速道路がそれにあたる。

 

 

■一般道にも高速道路にもあるが、首都高にはないもの

 

首都高でも湾岸線は左側入口&左側出口を多く採用する

首都高や阪神高速、名古屋高速などの都市高速には追越車線が存在しない。意外なように思えるが、片側3車線あり最高速度が80km/hの首都高湾岸線にも追越し車線は設定されていない。なお、便宜上、右側車線のことを「追越車線」と呼ぶこともあるそうだが、東名高速など一般の高速道路に設置されている「追越車線」とは、意味合いが異なるのだそう。例えば名古屋高速の公式サイトの質問コーナーを見てみると、

 

Q :名古屋高速道路では、走行車線、追越し車線の区分はありますか?

 

A :名古屋高速道路では、道路交通法の規定により右側の車線(3車線以上あるところでは、1番右側の車線)が追越しのための車線となっています。したがいまして、追越しをするとき以外は、左側の車線(3車線以上あるところでは、1番右側の車線以外の車線)を走行することになります。ただし、本線から出ようとする場合については、法の規定により、あらかじめその手前から出口に接続する車線を通行するため、右側に出口がある所では、追越しをしない場合でも右側の車線を走行することができます。

このように回答されているが、実際に名古屋高速の広報担当者に電話で確認したところ、1日経って「追越車線の設定はありません」との回答を得た。ややこしいが、「追越しのための車線」と「追越車線」とは意味が違うらしい?内容が違うのなら、早く訂正して欲しいものだ。

 

 

■首都高に追越車線が設定されていない理由は?

 

3号線の池尻ランプは右側入口&右側出口

ではなぜ、都市高速には追越車線が設定されていないのか?首都高速道路株式会社広報室によると、

 

「一般の高速道路はすべて左側に出入り口がありますが首都高速では右側にもランプと呼ばれる出入口が設定されています。合流してくる車も多く存在する右側車線を一律に追越車線に設定することは危険という観点から、首都高全線において右側車線を追越車線とは設定していないのです」

との回答を得た。また、首都高は短い区間の間に合流・分流が存在するため、車線変更も忙しい。東名や新東名のような高速道路とは構造からしてまったく異なるため、追越、走行車線の区別をつけていないのだろう。

 

 

■それではなぜ、右側に出入り口が多いのか?

 

首都高に追越車線がないのは右側にもランプが多く設定されているから、という理由は分かった。他の都市高速も同様の理由で右側車線=追越車線ではない。ここで気になるのは、なぜ首都高には右側に出入り口が設置されるケースが多いのか?という事。

出典:「」より

こちらは首都高ランプの地図である。これを見ると、湾岸線は横浜~千葉のほとんどが左側入口&左側出口になっているが、三軒茶屋、池尻、新宿、芝浦、京橋、板橋本町、西池袋などは右側入口&右側出口だ。都心ほど右側に設置されているケースが多いという印象だ。理由はスペース的なことで、首都高のランプの多くは下を走る道路から上がってランプに入り本線に合流する。上下線ともに左出入口にするためには、下を走る道路は最低3車線が必要となる。右側から合流する方がランプ全体をコンパクトにでき、必要となる用地も最低限で済むためコストを抑えられ、誤進入などの危険もぐっと少なくなる。首都高や阪神高速に比べて15年遅くできた名古屋高速では、さらに右側出入口の割合が高くなっている。

 

 

■首都高をストレスなく走るには?

 

分岐が複雑な首都高。初心者ならば事前にスマホ等でルートを確認することをお勧めしたい

首都高を苦手と思うドライバーは少なくない。理由は、道路の幅が狭いわりに結構なスピードで走っている車が多く、しかも、出入口が左右色々あって、分岐も多い……。走り慣れていない人には、なかなかハードルが高い高速道路ではある。初心者がストレスなく安全に走るには、まず、首都高に乗る前にカーナビやスマホの地図でルートを確認することを勧めたい。また基本的なことだが、首都高には路線番号が大きく明記されているので、目的地までのルートで使う路線番号を把握しておくこともポイントだ。初心者の場合はとくに「ナビがあるから大丈夫」とは思わない方がいい。車線変更は早め早めで行うこともお忘れなく。

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自動車生活ジャーナリスト

加藤久美子

山口県生まれ 学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。一般誌...

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