人間関係で疲れる原因になる「自分の価値観フィルター」とは

人間関係

清水なほみ

 

先日、実家の母が孫たちの顔を見に来てくれました。夕食を一緒に食べたり、お土産で遊んだりと、娘たちも喜んでいましたが、母が夫に対して言っている言葉がどうも引っかかりました。例えば……

 

最近転職して勤務日数が増えた夫に対して
母:「平日フルタイムで働きながらだと大変でしょう?」
私の心のつぶやき:「夫週5日、私週6日勤務だけど… しかも産休・育休なしだし」

 

食後に娘の遊び相手をしている夫に対して
母:「休日に子どもの相手じゃあ休む時がないわね」
私の心のつぶやき:「私は平日も休日も子どもの相手をしてるけど… お風呂も寝かせつけも私担当だし」

 

私が娘と遊んでやっている間に夕食の後片付けをしてくれた夫に対して
母:「休みの日に家事をやっていたら大変ね」
私の心のつぶやき:「両方働いてるんだし、子どもの相手と家事を分担するのは当然じゃない?」

 

もうお気づきの方もいらっしゃると思いますが、母は一言も「私(自分の娘)が楽をしている」とか「私よりも夫の方が大変」とは言っていません。義理の母として、夫を気遣ってねぎらいの言葉をかけてくれているだけです。でも私は、「なんで男がちょっと家事や育児に参加したらそんなに褒められたりねぎらったりされるのよ」という不満の目で見ていました。なぜだかわかりますか? 母の言葉を「自分の価値観のフィルター」を通してキャッチするからです。

 

母の言葉だけはなく、私たちは日頃起きる出来事や人から聞く言葉を「自分のフィルター」を通してキャッチしています。なので、同じことを耳にしても人によって捉え方が変わりますし、「そんなつもりで言ったのではないのに」というすれ違いが生じたりします。どんなフィルターを通すかは、人によって異なりますし、フィルターの種類も実はいくつかあるのです。

 

例えば、今回の母の言葉を聞いた私の中にあったフィルターは「家事や育児の分担がフィフティーフィフティーではない(夫の方が楽をしている)」「女が家事をしても認めてもらえないけど男が家事をしたら極端に褒められる」「男の家事参加は『できるときにできることをできる範囲で』なのにそれでも評価されるなんでずるい」…といった、ジェンダーバイアスに対する不満のフィルターがたくさんあったわけです。

 

母もジェンダーバイアスで嫌な思いをしてきたことを知っているだけに、その母がジェンダーバイアスに加担するような発言をしたことが特に引っかかってしまったのでしょうね。さらに、日頃自分が負担していることに対して「評価されていない」という認識があった、つまり、自分で自分のやっていることを認めてあげられず他人からの評価を求めていたり、意識レベルが「プライド」のレベルに下がったりしていたことも、母の言葉をゆがめるフィルターになっていました。

 

自分がどんなフィルターを通してキャッチしていたのかを、少し客観的に眺めてみると、言葉や出来事に対して起きた「心の摩擦」の正体に気付くことができます。何か引っかかるなとか、嫌な気持ちになったなという時には、自分の中にどんな「フィルター」があるのかを見つけ出してそれを「別のフィルター」に置き換えると楽になるのです。人間関係で疲れてしまうことが多い人ほど、たくさんの「ゆがみを作るフィルター」を通して他人の行動や言葉をキャッチしています。

 

もしあなたが、自分ではどんなフィルターを通しているのかよくわからない、またはフィルターの解除の仕方が分からないといったお悩みを持っているのであれば、一度カウンセリングを受けてみてください。度があっていない眼鏡から適切な眼鏡にかけ替えた時のように、視界がとてもクリアになりますよ。

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清水なほみ

女性医療ネットワーク発起人・NPO法人ティーンズサポート理事長。日本産婦人科学会専門医で、現在はポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長。女性医療の先駆者の下、最先端の性差医療を学び、「全ての女性...

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